〜糖尿病の症状、診断、慢性合併症について
糖尿病とは…?
通常食事により体内に入った糖は、膵臓から出されるインスリンというホルモンにより細胞内に取り込まれてエネルギー源となります。これにより血糖値がおおよそ70〜140 mg/dLにコントロールされます。しかし、インスリンの作用が十分でないと、血糖値が高くなってしまいます。糖尿病とは「インスリンの作用不足のためにブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普通より高くなっている状態」をいいます。
糖尿病の症状
血糖値が高いことによるさまざまな症状が出現します。しかし、まったく症状が出ない方も多いです。
1.多尿(たにょう)、口渇(こうかつ)(のどが渇く)、多飲(たいん)
尿に糖が出ると同時に水分もいっしょに出るため、尿の量が増え、トイレに行く回数が増えます。またこれにより体が脱水状態となり、のどが渇いてしまいます。そのため水分をたくさん飲むことになります。
2.食べてもやせる、体がだるい、疲れやすい
インスリンがうまく作用しないと、筋肉や内臓が糖をエネルギーとして使うことができなくなります。また、糖が尿に出て、エネルギー不足になります。そのため、たんぱく質や脂質がエネルギー源として使われるため、体重が減ってだるさを感じるようになります。
3.目のかすみ
糖尿病網膜症の症状。視力に異常が出たり、ひどい場合には失明することもあります。
4.手足のしびれ
糖尿病性神経障害の症状。手足の先がヒリヒリ・ジンジンとしびれたり痛みを感じたりします。
糖尿病の診断
朝食前(空腹時)の血糖値が126 mg/dL以上、あるいは食後の血糖値が200 mg/dL以上であれば、糖尿病が強く疑われます。この場合、同時に採血した血液のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー。1〜2か月の血糖値を反映する指標)が6.5%以上なら、糖尿病と診断されます。また、HbA1cの値にかかわらず、口渇、多飲、多尿、体重減少などの糖尿病の典型的症状がある場合、または確実に糖尿病網膜症(もうまくしょう)が認められる場合は、糖尿病と診断されます。1回の検査で糖尿病と診断されない場合でも、別の日にもう一度血糖値あるいはHbA1cを調べ、高い場合には糖尿病と診断されます(図1)。
糖尿病の慢性合併症
血糖コントロールの悪い状態が長く続くと、全身にさまざまな合併症が起こる可能性が高くなります。
- 糖尿病に特徴的な細小血管(細い血管)の合併症:神経障害、網膜症(もうまくしょう)、腎症(じんしょう)などがあります(「しんけい」、「め」、「じんぞう」の頭文字をとって、「しめじ」と覚えます)。
- 糖尿病だけに起こるとは限らないが、糖尿病があるとより進行しやすい大血管(太い血管)合併症:動脈硬化による脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞(しんきんこうそく)や足病変(足壊疽(えそ)など)などがあります(「えそ」、「のうこうそく」「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)= 心筋梗塞(しんきんこうそく)、狭心症(きょうしんしょう)のこと」の頭文字をとって、「えのき」と覚えます)。
これらの合併症は糖尿病の治療をきっちりとしていれば、最小限に食い止めることができます。すでに合併症が出ていても、進行を遅らせ、他の合併症が出ないようにするために、日々の食事に気を付けて、正しい治療を続けましょう。